2011年 02月 27日
2月27日 続・穐吉さんとの思い出(7)
NHKの方々もカメラを担いで乗ってこられた。
ホームで、新幹線から降りてこられた穐吉さんと握手。
その後、車の中で、今日の演奏曲の確認を行った。
幸せなひととき・・・。
何と言っても、今回は、私がリクエストした曲を演奏して下さるのだ。
前回、演奏していただいた曲の中で、今年も、お願いした曲は3曲。
「Repose」「Un poco loco」(Solo Live at THE KENNEDY CENTERに収録されている)と「Memory」(Hopeに収録されている)が、それ。
あとの曲は、昨年と違う曲をオーダーしていた。
車中、夢中でジャズの話を伺う。
会場に着くと、森田ピアノさんが、ピアノの最終チェックを行ってくれていた。
そう、森田ピアノさんには、今年も、ピアノの調律をお願いしていのだ。
本校は、普段は、ピアノはステージの上に置かれている。
しかし、演奏会ということで、ピアノを前日にフロアに降ろすことになる。
ピアノを動かせば、・・・・調律、ということです。
まずは、子ども達による「宇治田楽」の発表です。
この「宇治田楽」の取り組みは、2001年12月22日、NHKBSで「子どもたちが輝いた」と題した50分のドキュメンタリー番組となり、無事、放映されました。映像の裏側にあった子ども達との悪戦苦闘の毎日については、また、機会があれば書いてみたいとも思います。
もちろん、書ききれないくらいの出会いがあったわけでして・・・・。
まだ、不十分なところはあるものの、子ども達は、一生懸命、声を出し、踊りました・・・。
そして、野村誠さんのピアノ演奏「宇治田楽」に合わせて、林加奈さんの演奏と安那瑞穂さんのダンス。
美しいメロディから一転して、激しい旋律、ユーモア溢れるかけ声・・・・それに合わせて美しく、時に激しいダンス。
そして、いよいよ穐吉敏子さんの演奏です。
私がオーダーしていた曲が次々と演奏されていきました。
昨年は、子ども達にジャズが分かるのだろうかなどと心配しながら演奏会当日を迎えたのですが、そんな心配は2年目の今回は必要ありませんでした。
そんな音楽のカテゴリーは必要ないのです。
そこには、上質の音楽がある。
子どもは、分かるとかじゃなくて、感じ取ることができるのだ、と気づいたのです。
素晴らしい演奏でした。
そして、オーダーした最後の一曲が終わりました。
「そうそう、糸井先生からお願いされていた曲を最後に演奏しますね」
と、ポケットから、私がFaxで送っていた楽譜を取り出され、しばらく、鍵盤を見つめられた後、子ども達が見つけた4小節の音符を弾かれ・・・・・そこから先は、実に楽しそうに5~6分の即興演奏「宇治田楽」を演奏して下さったのです。
まさに、感無量でした。
勇気が沸きました。
今回の子ども達との取り組み「宇治田楽」では、停滞気味になっていた感がありました。
でも、アーティスト達の楽しそうな即興演奏を見ていると、停滞させているのは、自分だと思いました。
いろんなプレッシャーから、楽しむという気持ちが無くなっているのだと・・・・。
「ありがとうございました。穐吉さんに大きな拍手を・・・・」
と言いながら、演奏を終えた穐吉さんに近づいていきました。
と、穐吉さんは、一瞬何かを考えるような仕草をされ、近づいていく私にストップをかけ・・・・そして、ビアのの上に用意されていたマイクを取られたのです。
「えっと、依頼されていた曲は全て演奏したんですが、もう一曲、演奏させていただきたいと思います。」
私は、「?」でした。
もう一曲、演奏して下さる????もう、用意していたアンコール曲も終えているのです。
穐吉さんは、こう話を続けられたのです。
「9月11日、みなさんはアメリカで何があったか、知っていますか?」
こんな言葉で、子ども達に話しかけられたのです。
(以下、次号に続く)
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