7月2日 人権教育レポート

今年、人権教育に関するレポートを学校として提出しなければならないことになっていた。
毎年、夏休みに宇治市の小中学校が集まり、レポートをもとに人権学習の交流をするとこになっているのだ。
で、私が書くことになっていた。
ずいぶん前に、テーマだけ出すように言われ、何となく、「思いやりの心を育む授業」としていた。何となく書いたものの、今にして思えば、やはり、今年のクラス運営のテーマとして捉えていたということなのだろう。

先週、書き上げたのだけど、実際、書く前は、悩みました。
「4月に行ったいろんな授業のことを書こうかな」、「修学旅行の取り組みのことを書こうかな」・・・と。
でも、結局、演劇の授業のことについてまとめることにしました。
なぜ、自分が演劇というものを教室に持ち込もうとしているのか。そのことを少しまとめてみようと思ったのです。
私の場合、演劇好きの教師が、演劇を子ども達とやりたがっている・・・というスタンスとは、少し違った角度で、演劇を捉えていると感じているからです。

書き上がったものは、以下のようなものです。
発表レポートに選ばれたとのことですので、時間の余裕があれば、実際の様子を動画で見ていただいたり、ミニワークショップを体験していただいたり・・・そんな発表ができるといいなあと思っています。

「思いやりの心を育む授業」

1 はじめに
 
 「思いやりの心を育む授業」などと書くと、どうしても道徳の授業を想像する方が多いと思うのですが、この授業は、国語の授業を使って実施したものです。というのも、いわゆる道徳教材を使って、子ども達の心に問いかけるような授業だけでなく、実際の活動を取り入れた授業を実施していくことが、大切であると私は考えています。

 実際の活動の中で、お互いのことを考えていく。そういった活動を大切にした授業をくり返すことによって、初めてお互いを思いやる心を育むことができるのではないかと考えているのです。
 きっかけは、一昨年から始めた劇団の方との授業でした。劇団の方々との授業(ワークショップ)を終えた児童会本部の子ども達を見て「ものすごく仲が良くなったことに驚いている」と、担当の先生は感想を述べられていました。

 本レポートは、上記のような考えを経て、平田オリザ氏(劇作家)に来校いただき、取り組んだ実践です。

2 具体的な取り組み

 ねらい:お互いの意見を出し合い、それぞれのイメージや感性をすり合わせて一つの作品を作っていくことで、一人一人が尊重される時間、空間を生み出していく。

 実際の授業
1時間目:配られた台本にしたがって、班ごとに演劇に取り組んでみる。

 「朝の教室。ザワザワと子ども達はおしゃべりをしている。そこに、転校生と一緒に先生がやってくる。転校生の自己紹介の後、やりとりが続く。」といった内容のもの。

 グループ(班)ごとに配役を決める → 読みにくい文については読みやすいように変えてもよい → 実際に読み合わせをする → 誰に向かって台詞を言っているのかをはっきりさせよう(目線・体の向き) → 誰から言葉をもらっているのかをはっきりさせよう(目線・体の向き) *言葉をきちんとキャッチボールしよう → グループごとに発表しよう
*演劇を見る時の決まりの確認(見る時は、おしゃべりは厳禁、絶対に許されない)
→ 平田オリザ氏から、グループ毎に「よかった部分」のコメントをもらう。
 使用した台本の一部分を紹介すると、

ト書き 朝の教室。生徒たちが登校してくる。教室はワイワイとうるさい。

生徒3 ねえねえ、昨日××(テレビ番組の名前)見た?
生徒1 見た見た。
生徒2 見てなーい
生徒3 なんだよ。
生徒2 しょうがないじゃんか、オヤジがナイター観てたんだから。
生徒1 だせー。
生徒3 すごかったよねー。
生徒1 まさか、あそこまでやるとはねぇ。
~後略~

2時間目:1時間目の台本。今度は場面のみで台詞がないものを使い、自分達で台詞を作り、対話劇を完成させる。

「朝の教室。教室はワイワイとうるさい。(自分たちで、工夫して教室の雰囲気を考えてみま
しょう)」
グループで相談して台詞を考えていく → 実際に読み合わせをする(教師・講師は、各グ
ループを回り、子ども達の活動を支援する)

3時間目:自分達の作った対話劇の発表会を行う。

グループ毎に発表していく 
演劇を見る時の決まりの確認(見る時は、おしゃべりは厳禁、絶対に許されない)
→ 平田オリザ氏から、グループ毎に「よかった部分」のコメントをもらう。

3 授業を終えて

クラスのやんちゃな男の子は、授業後、こんな感想を書いていました。
「みんなで作る台本は、自信がなくて、でも、みんなで作ってたら、いつの間にか自信がつ
いてきて、発表する時はめっちゃ緊張したけど、・・・楽しかった。」

演劇に取り組むことと、思いやりを育むことは、イコールではありません。ただ、みんなに
受け入れられる、みんなを受け入れるという経験の重要性を感じています。

演劇を取り入れた授業の後は、いつも決まって子ども達同士の人間関係がよくなります。
そして、子ども達が生き生きとした表情を見せてくれます。活動の中で、子ども達は受け入
れられる喜びを体感します。自分の言った言葉、演じた動きが、必ず次の展開に活かされ
る経験を通して、表現する楽しさを学ぶのです。そして、そのことが、一人一人を尊重する
思いやりの心の育成につながると感じているのです。
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by sitoi | 2007-07-04 20:11 | Comments(0)  

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