2016年 05月 17日
5月17日 嬉しくって、悔しくって・・・
それが「学校でしなやかに生きるということ」(石川晋著・フェミックス)だ。
こんなに時間をかけて読んだ教育書は初めてかもしれない。
そう、私は、こんな教育書がずっと読みたかったんだ。
この本は石川晋という教師にしか書けない本だ。
この本は売れようが、売れまいが、石川晋という類稀な教師が書き綴った傑作であることは間違いない。
石川晋が、教育の最前線である教室という場で見た21の風景が、エピソードと共に描かれている。時に重く、時には軽妙に・・・。
ほんの少しだけ、引用して紹介しよう。
「教師教育」問題を考える・・・という風景に書かれていた文章だ。
ぼくは、喉まで出かかった、結局いえなかった。「あなたがうまくいかないと嘆いていること、それらすべてを含めて仕事というんだよ」と。
また、自分の思いつき程度の実践は、すでに先人がそのほとんどを試していることもわかった。先人の業績に丁寧に触れることが、自分を謙虚にする。
だから、いまに至るまで話しつづけ、書きつづけ、読みつづけ、その結果として、起こる考え方や実践の変化を大切にして仕事をするということが、自分のルーティンになるまで繰り返してきた。
私がこの本を読んでいるとき、ちらっと本を見た娘が、
「えっ、したたかに生きるの?」
と聞いてきた。
「何、言ってるの。しなやかに、だよ!」
「えっ、ほぼ同じじゃないの?」
と言い返す娘。
「いやあ、全く違うでしょ。」
と、私。
私は、「したたか」という言葉は、はっきり言って嫌いだ。
だけど、今の教育書には「したたか」の臭いがついて回っているように感じるのは私だけだろうか。私は、教育に真摯に向かい合いたいと思っている。そして、できるなら「しなやかに生きていきたい」と思っている。
是非、多くの方に読んでいただきたい。
石川さん、本当にいい本でした。
こんな本を石川さんが書いてくれたことが嬉しくって・・・、同時に、書けない自分が悔しいです(笑)。こういった本を石川晋に書かせることができなかった大手出版社も残念がってほしいな。