10月16日 だから、今がある

公立の小学校に勤めていた頃、休みの日に、娘を連れて小学校に行くことが多かった。
休みの日にも仕事をしないと、仕事が回らなかった。
また、休みの日に、わざわざ子ども達を集めて、遊びに行ったりもした。

出る杭は、打たれる・・・・。
まっ、言うほど出たとも思わないが、私は、最も困難だと言われた小学校で勤務することになった・・・。
お世話になってた社会科部の担当校長が、いかにも可愛そうにという顔をして、
「まっ、糸井くん、とにかく・・・・辛抱しいや」
と声をかけてくれたことを覚えている。

転任早々、その勤務校で力を発揮していた年倍教師は、
「君は何者やねん。ここで、君ができることはないと思うで・・・。」
と迎えてくれた。

始業式。
体育館の壇上から見た子ども達の姿はすさまじかった。
騒がしいというのは、こういうことか・・・・という有様だった。

教室に入ってみると、新学期早々、椅子を思いっきり後ろにずらし、寝るような体勢でこちらを睨んでいるボスだろうと思える男の子。
まるっきし、私の話など聞かずに、ひたすらおしゃべりをしている男の子。
それが、その学校での私のスタートだった。

新学期二日目だったかなあ・・・。
授業は午前中で終わりで、午後から遠足の下見に出かけた。
学校に戻ってみると、教頭先生が血相を変えて私のもとに・・・。
「なあ、糸井先生。ちょっとあいつら見てや。あれ、先生のクラスの男子やろ!さっきから、校舎の壁に泥団子ぶつけて遊んどるんや。注意しても聴きよらへん。先生、注意してきてや!」
「はぁ・・・分かりました」
と、子ども達のもとへ。

「なあ、何やってん?」
「泥団子や!文句あんのか!」
「いや、もちろん、文句あるけど、そんなんして、楽しい?」
「おーっ、楽しいわ」
「そうか、ほんなら、ちょっと一緒にやろか」
「へっ?」
「いや、ちょっと一緒にやろかって言うてんねん」
「おーっ、やろう、やろう」

で、一緒にちょっと遊んで・・・・
「よっしゃ、一緒に掃除すんで」
「へっ?」
「掃除する言うてんねん」
「何で?」
「そんなもん、遊んだら片づけすんに決まってるの」
で、一緒に片付けした後、

「なあ、お前ら、黒光りする泥団子って知ってるか?」
と聞いてみた。
当時、光る泥団子って言うのが流行ってたのです。
「なんや、知らんのか。よっしゃ、一緒に作ろうや」

それから、毎日、グランドのいろんな場所に行って、男の子達と団子作りに励みました。
数日たった頃、何か子ども達と仲良くなりました。
それは、休み時間の時でした。
他のクラスの男子が教室に入ってきて、私が作って置いていた泥団子を目にして、
「何や、これ」
と言って触ろうとしました。
その時ね、男の子達が、こう言ったんですよ。
「あかんぞ、それ触るなよ。それ、先生のやからな」
ってね・・・・。

その学校は、大変だったけど、私にね、一番大切なことを教えてくれたんですよ。
それはね、「まず、子どもありき」だってことです。
目の前の子どもを見て、考えろ、どうしたらいいのかをってことです。

長い教師人生の中で、その学校だけは、子ども達を名前で呼んでいた。しかも、呼び捨てで。
「こうじ!」「あいこ!」って感じで。
でも、場面で使い分けるなんてことは嫌で、保護者の前でも、呼び捨てだった。
「こうじが、頑張りましたよ」ってな感じで。
それくらい、子ども達の距離を縮めて付き合わないと、気持ちが届かないって思ったから。

懐かしいなあ・・・・。
何だか、ふと、その頃を思い出した。
その学校での学びがあるから、今の私がある。
今は、そう思う。
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by sitoi | 2011-10-17 22:19 | Comments(2)  

Commented by まるしん at 2011-10-20 20:50 x
すごくよかったです。まず、子どもありきですね。そう思います。
Commented by 佐藤です at 2011-10-21 22:08 x
ご無沙汰です。
facebookでのしんちゃんの紹介で知りました。
susumuさんの姿が思い浮かびます。いいね!

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